村下孝蔵の『初恋』を聴いて

 皆さんは村下孝蔵という歌手の『初恋』という曲はご存じだろうか。もしかしたらこれを読んでいる人の中には村下孝蔵だけでなく『初恋』も分からないという人もいるかもしれない。しかしきっと「好きだよと言えずに初恋は」ここを聴けば誰もがこの曲のことが分かるだろう。今回はこの『初恋』を聴いた感想を歌詞に注目して見ていきたい。

 

五月雨は緑色 悲しくさせたよ一人の午後は

恋をして淋しくて 届かぬ思いを暖めていた

好きだよと言えずに初恋は ふりこ細工の心

放課後の校庭を走る君がいた 遠くで僕はいつでも君を探してた

浅い夢だから 胸をはなれない

 

夕映えはあんず色 帰り道一人口笛吹いて

名前さえ呼べなくて とらわれた心見つめていたよ

好きだよと言えずに初恋は ふりこ細工の心

風に舞った花びらが 水面を乱すように

愛という字書いてみては ふるえてたあの頃

浅い夢だから 胸をはなれない

 

放課後の校庭を走る君がいた 遠くで僕はいつでも君を探してた

浅い夢だから胸をはなれない

 

 初恋が実ったという人ももちろんいるだろう。しかし私のように、初恋が実らなかったという人もたくさんいるだろう。自分も『初恋』の歌詞同様に好きな人に「好き」と伝えられないまま別の進路に進み私の初恋は終わってしまった。

 「放課後の校庭を走る君がいた遠くで僕はいつでも君を探してた」この部分の歌詞はとても素敵ですよね。誰でも好きな人を知らず知らずのうちに目で追ったという経験があることだろう。ここでは教室から校庭を見ているんですかね。人によってフェンス越しから見てると思う人もいるかもしれませんね。このように歌詞の一部をとってもいろいろな解釈ができ、聴いている人のの実体験と照らし合わしながら聴くことができるのも『初恋』の魅力なのかもしれませんね。

 また『初恋』だけに限らず、村下さんの曲にはよく色も出てきます。「五月雨は緑色」と「夕映えはあんず色」と対比させていることにも何か意味があるのかもしれませんね。

 

 初恋のデモテープには3パターンの初恋が収録されている。その歌詞も素敵なので見ていきたい。この歌詞は私が実際にデモテープを聴きながら歌詞をだしたので、歌詞の一部に誤りがあるかもしれない。

 

その1

鮮やかな虹のように 心ときめかせ通り過ぎた日

あの頃が蘇る モノクロの世界初恋の人

張り裂ける思いさえ言えないで 遠くから見てただけ

君が笑う走る姿 今でも焼き付いて

取り戻せない震えた心 けがれた胸の奥

今はもう誰も あの頃のように

 

「張り裂ける思い」という表現なんてどれほど辛かったかが伝わってきますよね。これでも初恋のことが十分伝わってきますね。「モノクロの世界初恋の人」は好きな人のことを思い出しているんですかね。

 この歌詞には私が好きな表現がいくつかありましたが、全体を通して聴くと、少し重くも感じました。

 

その2

五月雨は緑色 悲しくさせたよ一人の午後は

名前さえ呼べなくて とらわれた心見ているだけ

好きだよと言えずに初恋は ふりこ細工の心

放課後の校庭を走る君がいた 遠くで僕はいつでも君を探してた

浅い夢だから胸をはなれない

 

夕映えはあんず色 帰り道一人口笛吹いて

恋をして淋しくて 届かぬ思いを暖めていた

どうしてなんだろうあの頃を いつも思い出してる

君はただのクラスメイト 今は何処にいる

愛と書いてみては心震わせていた 浅い夢だから胸をはなれない

 

放課後の校庭を走る君がいた 遠くで僕はいつでも君を探してた

浅い夢だから胸をはなれない

 

 これは、実際にリリースされた初恋にかなり似ていますよね。「名前さえ呼べなくて」と「恋をして淋しくて」の部分の歌詞が1番と2番で逆になっていることからも、村下さんが細かいところまでこだわっていたことが分かりますね。

 「君はただのクラスメイト」これだけで、声をかけることができないことが伝わってきますよね。挨拶はするし、毎日会うことはできるけど、それ以上のことは何もないなんてなんて切ないんでしょうね。私はこちらのフレーズのほうが好きですが「名前さえ呼べなくて」の方が話しかけることができなっかった情景がより鮮明に浮かんできますよね。

 

 

その3

五月雨は緑色 悲しくさせたよ一人の午後は

恋をして淋しくて 届かぬ思いを暖めていた

好きだよと言えずに初恋は ふりこ細工の心

放課後の校庭を走る君がいた 遠くで僕はいつでも君を探してた

浅い夢だから 胸をはなれない

 

夕映えはあんず色 帰り道一人口笛吹いて

名前さえ呼べなくて とらわれた心見つめていたよ

好きだよと言えずに初恋は ふりこ細工の心

風に舞った花びらが 水面を乱すように

愛という字書いてみては ふるえてたあの頃

浅い夢だから 胸をはなれない

 

放課後の校庭を走る君がいた 遠くで僕はいつでも君を探してた

浅い夢だから胸をはなれない

 

これは実際にリリースされた初恋とおなじですね。

 

ここまでデモテープに入っていた初恋の歌詞を見てきたが、驚くことに歌詞が違うだけで、曲が同じだということだ。村下さんは100年後も歌い継がれる名曲を生み出そうとしていたので、どんなに年月が経っても共感してもらうことができる詞を作ろうとしていたのかもしれませんね。

 

そして、2022年2月にはSonyから初恋のミュージックビデオが新しく公開された。この動画には賛否両論が出ているが、今の若い世代でも『初恋』に触れることができる。ぜひ一度『初恋』を聴いてみてはいかがだろうか。