22才の別れを聴いて

 今回は伊勢正三さんの代表作であり、かぐや姫の三階建の詩に収録されている「22才の別れ」の歌詞の意味について考えていきたいと思います。

あなたに さようならって

言えるのは 今日だけ

明日になって またあなたの

暖かい手に 触れたら きっと

言えなくなってしまう

そんな気がして

私には 鏡に映った

あなたの姿を見つけられずに

私の目の前にあった

幸せに すがりついてしまった

 

私の誕生日に

22本のろうそくをたて

ひとつひとつが みんな君の

人生だねって言って 17本目からは

いっしょに火をつけたのが

昨日のことのように

今はただ 5年の月日が

永すぎた春と いえるだけです

あなたの知らないところへ

嫁いで行く 私にとって

 

ひとつだけ こんな私の

わがまま 聞いてくれるなら

あなたは あなたのままで

変わらずにいて下さい

そのままで……

 

あなたに さよならって 言えるのは 今日だけ

明日になって 暖かい手に 触れたらきっと

言えなくなってしまう そんな気がして

 あなたに「さよなら」と言えるのは。つまり、ここに登場する女性は、恋人である男性と別れることを決意しているということですね。しかし、女性はそのことを打ち明けることができずにいます。

「あなたの暖かい手に触れたらきっと言えなくなってしまうそんな気がして」。これはきっと女性の経験談で、別れ話を切り出そうとしても、恋人に話かけられたり、触れられると、その言葉が詰まって出てこなかったのでしょう。つまりこの女性は別れを切り出そうとしている反面、まだ男性のことが好きで未練があるということですね。

 

私には 鏡に映った あなたの姿を見つけられずに

私の目の前にあった 幸せにすがりついていました

  鏡は生活の中で女性が化粧をするために、毎日必ず使うものですね。その生活必需品ともいえる鏡に姿を見つけれなかった。鏡には女性の姿だけで、恋人の姿は移っていないということですね。つまり、女性は今の恋人と暮らし続ける、結婚することはできないと考えているのではないでしょうか。

 そして私の目の前にあった幸せにすがりついてたということは、この女性には恋人以外に男がいて、その人のところへ嫁いで行こうとしているんですね。この当時ですから親が決めた結婚相手か、自分で作った男性かはわかりませんが、この時点で女性は2股をかけていたことになります。

 

私の誕生日に 22本のロウソクをたて

ひとつひとつがみんな君の人生だねって言って

17本目からはいっっしょに火をつけたのが 昨日のことのように

 ここでは女性の誕生日に、誕生日ケーキに22本のロウソクをたてて、恋人と2人で誕生日を祝っています。つまり女性の誕生日の時にはまだ、女性は恋人と別れることは考えてはいなかったはずです。

 そして、男性がロウソクの「ひとつひとつがみんな君の人生だね」といっていうことは、もしかしたら、火をつけながら「7歳、小学校に入学」といったように、その年齢の時に思い出を話しながら、ロウソクに火をつけていたのもしれないですね。この時の2人はきっと、過去のことを思いだしながら、これからのことを考えていたのでしょう。

 

今はただ5年の月日が 永すぎた春と言えるだけです

あなたの知らないところへ 嫁いで行く私にとって

 ここで女性はついに17歳の頃から5年間付き合った恋人と別れたんですね。17歳から22歳というと、高校から大学にかけての年齢なので、この2人は学生だったのかもしれないですね。人生の中でわずかな時間である学生時代の中の5年という月日を、一人の男性と付き合った女性にとって、永遠ともいえる時間だったのでしょう。そんな男性の元を離れて、男性が知らない男の元に嫁いで行くんですね。長い時間を過ごしたからこ別れたくないという未練もあったのもしれにですね。

 

ひとつだけこんな私の わがまま聞いてくれるなら

あなたは あなたのままで 変わらずにいて 下さいそのままで

 そして自分のわがままで別れた恋人に対してこの女性は、1つだけわがままを言うんですね。それは変わらずにいて欲しいということ。つまり、私が好きだったあなたのままでいて欲しいということですね。それならば女性はまだ別れた恋人に未練があるようにも感じます。この男性に決断力があり、「結婚しよう」とはっきりと言えることができたのなら、このような結末にならなかったかもしれないですね。